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2016年1月 6日 (水)

『約束の冬』 宮本輝

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amazon紹介文より

十年前、留美子は見知らぬ少年から手紙を渡される。「十年後、地図の場所でお待ちしています。ぼくはその時、あなたに結婚を申し込むつもりです」。いったいなぜこんな身勝手なことを?東京、軽井沢、総社、北海道…。さまざまな出会いと別れ、運命の転変の中で、はたして約束は果たされるのか。

この小説のタイトルが示すように「約束」が大きなテーマ。登場人物それぞれが自分の中にある約束をテーマに生きていく様を描く。

小説のあとがきで宮本輝氏は次のように書かれている。

『約束の冬』を書き始める少し前くらいから、私は日本という国の民度がひどく低下していると感じる幾つかの具体的な事例に遭遇することがあった。民度の低下とは、言い換えれば「おとなの幼稚化」ということになるかもしれない。
受けた教育とか社会的立場とか、その人が関わっている仕事の種類や質といったものとは次元を異にする領域において、日本のおとなたちは確実に幼稚化している。いったい何がどう幼稚化したのか。
現代の若者たちはいかなる人間を規範として成長していけばいいのか……。
私は小説家なので、小説のなかでそれを考えて、小説として具現化していかなければならない……。
そこで私は『約束の冬』に、このような人が自分の近くにいてくれればと思える人物だけをばらまいて、あとは彼たち彼女たちが勝手に何等かのドラマを織り成していくていくであろうという目論見で筆を進めた。

その人物の一人が桂二郎であろう。桂二郎の考えや台詞はあとがきで書かれた宮本輝氏のいう規範となる大人だろうと思う。

桂二郎は、自分が実際に目にしたもの、実際に耳にしたもの以外は決して信じないという信念といっていい考え方を強く抱いていた。桂二郎曰く、

人の噂や風聞というものが、いかに実際とは異なっているかを数多く体験してきたので、いまでは週刊誌などの新聞広告すらあえて見ないようにしていた。
自分の会社でも、役員が社長の桂二郎の耳に入れる社員への評価を鵜呑みにはしなかった。下請けの工場に対する担当者の報告も、自分が実際に確かめるまでは、単なる私見としてそけとめるようにしている。
人間そのものへの評価にも、仕事への評価にも、たとえそこには悪意はなくても、いかんともしがたく個人的感情が微妙に介入するものだと桂二郎は思っている。そしてその個人的感情というものは、厄介なことにじつに流動的なのだった。

また、別の人物(ショットバーのバーテン新川)は桂二郎に言う。

しがない小商いですが、私も女房も、それ以外の生き方は出来なかったんです。だから、いかに誠実に正直に生きるか……。そのことは私も死んだ女房も第一義としてきました。
このような人間であろうとすることや、このような信条を根本として生きつづけようと決めることは簡単だが、それを生涯実践しつづけるのは至難の業だ……と新川は言った。

徒然草第150段も紹介される。著書の中に出てくる世界は深かった・・・。


本日の早朝ジョグ10km。

この季節らしく寒くなってきた。これ以上寒くなって欲しくないなぁ~。

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